土井正三について
「土井正三」について
今どきの会話で「巨人ファン」という言葉を使うことはほとんどないだろう・・・
と思っていたんですが、たまたま「昭和の時代にはジャイアンツが物凄い人気で、
全国どこに行っても野球の話をしたら誰でも仲良くなれたんだよ。」とかいう話を
電車内でしているおじいちゃんグループに会いました。
「長嶋がなぁ」とか「王はね」「あの後楽園球場で」とか言いながら、巨人好き+
贔屓だった選手の過去と現在の姿まで延々と各自の必殺ネタが続いていて、思わず
聞き耳をたててしまいました。
ああっ、今でもいるんだなこういう人達・・・。どうしても昔の野球のシーンなので
巨人ファンが中心で他はマイノリティーみたいな感じになりますが、それでも王道
を貫くのは勇気が必要ですから、この地下鉄内の光景はとても珍しい、貴重なもの
だったのだと思います。
さて、私はある時期野球が好きで好きでテレビや雑誌で様々なネタを仕入れること
に無上の喜びを感じていました。
例えばのお話ですが「日本ハムの✖✖選手は中学まで地方の田舎に住んでいたが
高校野球の名門高に入るため上京、高校の近くに下宿していたがそこの小学生
だった娘さんと縁があり結婚した。奥さんの名前は〇〇子さん、ついでに奥さん
のクラスにはその後体操でオリンピックに出場した▢▢君がいた・・・。」
こんな、どうでも良いような話を発見した瞬間の喜びをどう表現したらよいか、
田舎の母に電話するわけにもいかず、結局ひとりで祝杯をあげて終わりでした。
それでは、上記の文章から導かれる「土井正三」のお話です。かなり曖昧な記憶なの
ですが、小学生時代に巨人と広島だか中日の試合でそのシーンを見ていたような気が
します。
モノクロで低学年か高学年前に見た感覚なので、どこの球場なのかどっちがホーム
なのかわからないレベルでのお話です。ツーアウト1塁でランナーが盗塁しました。
タイミングは微妙でしたがセカンドでアウト、タッチしたのは「土井正三」です。
ただ、この判定にランナーが激怒しました。ジャッジに対する怒りかと思っていたら
そうではなくなにか長い時間揉めています。ここで、コマーシャルが入りました。
「土井正三」はにこやかにベンチに戻りましたが、この瞬間に何か犯罪のような
香りが漂いました・・・。
中継が始まったところで、解説者が一言「空タッチですね」。しかし、憮然として
いたランナー(誰か覚えていません)は既に引き上げ、通常通り試合は再開されて
います。
なにせ、小学生のため意味が解らないまま試合の中継は終わりました。
結局、謎が解けたのは数年後で自分が高校生になったからでした。月刊少年ジャンプ
で長期連載されていた「どぐされ球団」の中で「土井正三」の「空タッチ」が再演
されていて初めて疑問が解けたました、というお話です。
テレビ中継のある中でもあんなトリックを使うという哲学からして、「土井正三」は
タダ者ではないというか、ただの悪人です。筋金入りの確信犯というのはこのタイプですね。
因みに、私は幼いころGファンでした。あの筋金入りの強さはとんでもなくアクの強いオトコタチが集まったから成し遂げらたモノ、だと確信しております。
昭和40年代、阪急ブレーブスとの日本シリーズは本当に手に汗握る試合ばかり
でした。ほんの少しの差、永遠に縮まらない差で西本幸雄は川上哲治に幾度か敗れ、
胴上げされることなくこの世を去りました。福本と大熊、加藤と長池とスペンサー、
山田と足立を率いても届かなかったのは何故なのか?
単純に「土井正三」みたいなやつがGに揃っていたからですね。これは始末が悪い
というか、あまりにもプレーが嫌らしくて話をするのが嫌になるぐらいです。
肝心な時に腹の底にたまっていた何か得体のしれないエネルギーを表に出し尽くす、
という表現で良いでしょうかね?同じような意味合いで、高田繁、柴田勲、黒江透修
も同等です。
いやらしさ世界一が数人続いたら、誰でも嫌気がさすものと思います。相手チームのエースはここで疲れてONに長打を喰らい降板の憂き目に会うのが定番でした。
参考までに、私のお気に入りの1.2番は、「高田繁」「土井正三」でした。残念な
ことに、このコンビはたしか1年で消滅しましたが、今でも史上最悪の嫌らしい、恥
知らずな男二人だった思います。
それではまた